脳死臓器移植

◆臓器移植法(1997年6月に国会で成立、同年10月16日に施行)
この法律は、臓器の移植についての基本的理念を定めるとともに、臓器の機能に障害がある者にし臓器の機能の回復又は付与を目的として行われる臓器の移植術(以下単に「移植術」という。)に使用されるための臓器を死体から摘出すること、臓器売買等を禁止すること等につき必要な事項を規定することにより、移植医療の適正な実施に資することを目的とする。
脳死者から心臓や肝臓などを臓器移植するための要件や手続きなどを定めた法律。
脳死移植の前提となる脳死者からの臓器摘出について、本人が臓器を提供する意思と脳死判定に従う意思を事前に書面で示し、家族が拒まない場合に限定する。
さらに、脳死判定は移植にかかわらない2人以上の医師で行うこと、脳死判定や臓器摘出、移植手術の記録を作成することなどを定めています。臓器売買の禁止も明記しています。
脳死判定の方法や臓器摘出の承諾にかかる遺族の範囲などについては、法律とあわせて示された施行規則や運用指針で定めています。
◆脳死と判定基準
脳死とは、頭のけがや脳出血などの病気で脳の機能が完全に回復不能となった状態。自発呼吸は止まってるが、人工呼吸器の助けで呼吸し、心臓は動いている。
1985年に厚生省の「脳死に関する研究班」(竹内一夫班長)が決めた「竹内基準」と呼ばれる脳死判定基準では、(1)深いこん睡状態(2)どう孔が固定(3)脳幹反射の消失(4)脳波が平たん(5)自発呼吸がない、の5条件を満たし、6時間以上たっても変化がないことを確認する。6歳未満の子供は判定対象にしない。
臓器移植法の施行規則ではさらに、音を聞かせて神経の反応を調べる聴性脳幹誘発反応を実施するよう強調しています。
◆海外の現状
欧米では脳死者からの臓器移植手術が医療の手段として数多く実施されています。アジアでも、タイや韓国などが積極的に心臓移植に取り組みが進んでいます。日本よりも先行している各国とも、移植を希望する患者数に比べ臓器提供者が足りないという共通の悩みがあります。
全米臓器分配ネットワーク(UNOS)の資料によると、米国では1996年、約2300件の心臓移植が行われました。
全米には臓器あっせん組織が約70あり、約800人の移植コーディネーターがいて、救急病院などから情報がこうした組織に入ると、コーディネーターが出向いて家族に説明し、臓器摘出の同意を得る。提供者のデータはバ−ジニア州リッチモンドにあるUNOS本部のコンピューターに集められ、移植を希望する待機患者の中から医学的にふさわしい人に移植されることになります。
■米べシシルべニア州政府は長年のタブーを破り、臓器提供があつ'た場合は「葬儀費用の足し」として約300ドルを支出する方針を固めました。報酬はドナーに渡らず、直接葬儀場に支払われます。
この措置で臓器提供が増加するかどうかを医療倫理専門家らで構成する委員会が3年間監視し、1999年6月9日に提案を提出する予定です。
◆厚生省臓器移植対策室が臓器移植の現状をマンガ入りでやさしく解説したパンフレットを配布しています。A5判19ページ、150円、
問い合わせ先、現代社会保険、03−3863−2666 へ
**99年**
5月24日
厚生省・公衆衛生審議会臓器移植専門委員会
**厚生省の公衆衛生審議会肝臓移植希望者選択基準作業班(班長ー藤原研司・埼玉医大教授)は、優先順位が低かったB型、C型のウイルス性肝硬変の患者について順位を見直し、選択基準を一部手直しする方針をまとめた。
また、一人の大人の提供者の肝臓を二つに分けて、子どもなどに移植する分割肝移植について、実施のための手順について検討する作業班を新たに設けることも合意した。
5月16日
厚生省・臓器提供意思表示カードを改訂
■厚生省は、脳死臓器移植の際に使われる臓器提供意思表示カードを改訂する方針を決め、現行のカードでは、脳死で角膜を提供する場合は、提供者が自分で「眼球(角膜)」と書かなくてはなりませんでしたが、今後は「眼球(角膜)」の文字を印刷し、意思がある人は「○」をつければいい形に改めます。
5月14日
米で60歳代の男性に心臓、肝臓、腎臓の3臓器を同時に移植手術
**手術後1週間たった14日現在、男性は順調に回復しているということです。
米シカゴ大病院で、64歳の男性に心臓、肝臓、腎臓の3臓器を同時に移植する手術が5月7日に行われ、まず心臓を移植、続いて、別の外科医チームが肝臓、腎臓の順に移植し、手術時間は約12時間かかり手術に成功しました。同病院によると、心肝腎の3臓器同時移植は米国でも2例目で、極めて珍しい。
男性患者はリウマチ性の心疾患で心臓移植が必要となったほかC型ウイルス性肝炎と、肝炎から併発した腎機能障害を患っていました。
臓器提供者は明らかにされていませんが、3臓器とも1人の脳死者からの提供です。
5月13日
慶応大病院の会見
**
午後七時前から行われた慶応大病院の会見には、神崎仁病院長や治療チームの責任者である河瀬斌・脳神経外科教授ら七人が出席。それぞれの担当医が臓器を提供した男性患者の治療内容や脳死に至った経過などを説明した。
それによると、男性が倒れたのは五月七日。勤務先を出て飲食店で同僚と昼食のカレーをとった直後だった。男性は気分が悪くなって意識を失い、午後零時二十八分、救急車で同病院の救急部に運ばれた。この時点でこん睡状態だった。
頭部のCT検査の結果、八センチ×七センチ×四センチもの大きな出血の塊が見つかった。同病院では除去手術を行い、男性は午後五時四十分に一般集中治療室に戻った。
男性が臓器提供の意思表示カード(ドナーカード)を持っていることを妻が明かしたのは、その直後。河瀬医師が「非常に危険な状態です。この状態が続けば脳はだめかもしれません」と説明すると、妻は「主人はドナーカードを持っている」と切り出した。妻は「万一のことがあったら臓器を提供しようねと前々からよく話していた」とも語ったという。河瀬医師によると、夫婦は外国での生活経験があり、「脳死という状態をよく理解していた」。
ドナーカードは男性が持っていた財布に入れられており、その日の晩に病院側に示された。病院側は「我々は助ける立場にあるのでできるだけ努力する」(河瀬医師)という方針で治療を続けたが、翌八日朝には刺激への反応がなくなった。夕方の検査では脳波もわずかに残っているだけの状態となった。十日夜、妻と男性の両親から再び臓器を提供したいとの意思が伝えられた。そして十一日午前七時に行った検査から臨床的脳死状態と診断された。家族の希望があったため病院側は午前九時四十分、移植ネットワークに連絡。来院したコーディネーターと家族が話し合い、脳死判定承諾書と臓器摘出承諾書の署名がされた。
しかし、ここで思いがけない問題が起きた。それまでの検査で男性患者の副じんに腫瘍(しゅよう)が見つかっており、これが悪性なら移植自体が不可能になる状態だった。臓器移植ネットワークの医師が家族に対し、〈1〉この時点で臓器提供を断念する〈2〉病理診断を行い、腫瘍が良性なら摘出する――の二つの提案を行い、腫瘍が良性である可能性は50%と説明した。しかし家族の意思は「少しでも可能性があれば提供したい」と変わらず、「この尊い申し出をお受けして」(河瀬教授)法的な脳死判定をすることが決定された。二 回の脳死判定にはいずれも家族が立ち会った。
十二日午後三時四十五分、病理診断の結果、良性との結論が出て、立ち会っていたネットワークの医師が 摘出のゴーサインを出した。
5月11日
臓器移植法法施行後では2例目
**
■移植へ臓器提供の意思
1回目、脳死と判定──東京の病院
東京都内の病院で、入院している30代の患者が臨床的に脳死と判断された。関係者によると、この患者は脳死後に臓器提供を認める書面を持っており、病院は11日、臓器移植法に基づく第1回の脳死判定を実施、脳死と判定された。6時間後に行われる第2回でも判定基準を満たして法的に脳死と判定されれば、臓器の状態を確認したうえで、心臓などの移植に入る可能性がある。2月には高知市内の病院で脳死判定がなされ、心臓、肝臓、腎臓などの移植が実施されており、同法に基づく脳死判定手続きは2例目になる。
●法施行後では2例目
関係者によると、主治医が脳波などの検査から臨床的に脳死の状態と判断したという。病院側は脳死判定委員会を招集し、脳死に詳しい知識をもつ複数の医師が法律に基づく第1回の脳死判定を実施した模様だ。
脳死からの心臓移植手術が実施される場合、東京女子医大、大阪大、国立循環器病センター(大阪府吹田市)の各指定施設のいずれかで行われる。法的に脳死と確定するには、第1回の終了後6時間の間隔をおいて第2回の脳死判定を実施することが必要とされている。
臓器移植法に基づく初の脳死臓器移植は今年2月末、高知市の高知赤十字病院に入院していた40代の患者から心臓、肝臓などが提供され、大阪大学付属病院など5医療機関で実施された。同法の施行から1年4カ月が経過していた。この移植では、脳死判定の手順の一部に不手際があったほか、臓器提供者のプライバシーの保護など、情報公開のあり方を巡って、様々な課題も浮かびあがった。
5月12日
独で50歳代の男性に心臓、肝臓、腎臓の3臓器を同時に移植手術
**ドイツのゲッティンゲン大学病院で、1人の50歳代男性患者に心臓、肝臓、腎臓を同時に移植する手術が行われたました3臓器の同時移植手術は、約11時間かかり、ドイツでは初めてと伝えられています。
5月12日
臓器移植法に基づく脳死判定が行われ、法的に脳死と判定
**東京都新宿区の慶応大病院で十一日夕から十二日未明にかけ、首都圏在住の三十 代男性患者に対し、臓器移植法に基づく脳死判定が行われ、法的に脳死と判定され た。この男性患者をドナー(臓器提供者)とした脳死心臓移植が検討され、大阪府吹田市の国立循環器病センターと大阪大病院の心臓移植チームが検査のため、十二日午前十一時二十分過ぎ、慶応大病院に到着した。しかし、肺や肝臓の移植は医学的理由で断念される見通し。臓器移植法に基づく判定で脳死とされたのは、ことし二月の高知市の女性ドナーに次いで二人目となった。
◆移植された心臓、動き出す国内で二例目となった脳死からの移植手術は、十二日午後、慶応大学病院(神崎仁院長、東京都新宿区)で、脳死と判定された三十歳代の男性から心臓と二つの腎(じん)臓などが摘出された。十三日未明までに、心臓は国立循環器病センター(大阪府吹田市)で、待機中の拡張型心筋症の四十歳代の男性に移植され、また腎臓も国立佐倉病院(千葉県佐倉市)と東大医科学研究所病院(東京都港区)で、それぞれ患者への移植手術が行われた。臓器移植法に基づく脳死移植は、二月末の高知赤十字病院(高知市)以 来、七十三日目。
同センターの心臓摘出チームや腎臓摘出を担当する慶応大学チームは、十二日午後二時三十九分から摘出手術を開始。心臓チームは午後六時三十分ごろ、慶応大学病院を救急車で出発。港区六本木の民 間ヘリポートから羽田空港まで空路移動し、中日本航 空のチーャター機で大阪空港へ。午後七時五十七 分、同センターに到着した。 心臓移植手術を受けた患者は、四国地方の四十歳代の男性。心筋の力が徐々に衰える拡張型心筋症で、約十五年前に発病、心不全の治療のために今年二月に同センターに入院した。症状が悪化し、四月初
めには体外装着型の補助人工心臓を着ける手術を受け、同月十四日、日本臓器移植ネットワークに心臓移植の待機患者として登録していた。
心臓病の患者は十二日午後四時二十六分、同センターの手術室に入り、八時五分から心臓を取り出し、提供された心臓と置き換え、さらに血管と縫い合わせる手術を受けた。
新しい心臓には午後九時二十六分、血流が再開され、十三日午前零時三十分に記者会見した山口武典病院長は「手術はほとんど終了。心臓の状態は非常に良好だ」と語った。
執刀医の北村惣一郎・副院長は、「患者は補助人工心臓を装着していたが、腎臓と肝臓の機能が低下しており、早期に心臓の手術が受けられたのは幸いだった」と述べた。
また、腎臓の移植手術を行った東大医科研では、午後十一時四十二分に手術終了。同じく午後十時十五分に腎臓の手術を開始した国立佐倉病院では、十三日未明に及んだ。
さらに、皮膚も家族の同意を得て提供を受け、杏林大学チームが午後八時半に摘出を終えた。凍結保存し、火傷患者などに移植される。
一方、臓器提供した三十歳代の男性は、今月七日の昼食時に気分が悪くなり、意識を喪失。慶応病院救急部に運ばれ、脳出血と診断された。脳神経外科で開頭手術を受けるなど救命治療が続けられたが、病
状が悪化し、脳死と診断された。
男性は提供意思を明記したカードを所持、カードに は脳死での提供に「○印」が付けられ、心臓、肝臓、肺、膵(すい)臓、腎臓、小腸を提供する意思が示され、本人と家族の署名があった。
移植を仲介する日本臓器移植ネットワークのコーディネーターが十一日正午ごろから、家族への説明を行い、午後一時すぎに家族から書面で脳死判定と臓器摘出の承諾を得ていた。
法に基づく脳死判定は十一日午後五時すぎから開始し、二回目の判定を終了し、五つの検査項目に変化のないことが確認できた十二日午前三時二十五分に脳死が確定した。
5月1日
脳死の1歳3ヶ月の男児の心臓340日動き続ける
**東京都内の幼い男児が、運ばれた杏林大学病院(東京都三鷹市)で脳死状態に陥ってから、心臓が一 年近く動いていたことがわかった。大人が脳死になっ た場合、一、二週間以内に心臓が停止するのが一般的で、子供の場合は大人より長いものの、これほどの長期間は国内では前例がない。六歳未満の小児の脳死判定基準を作成中の厚生省小児脳死判定基準研究班(班長=竹内一夫・杏林大名誉教授)にも報告されており、同班でもこの症例を詳しく検討している。
男児は一歳三か月だった昨年四月十五日、母親のせっかんで自宅で窒息状態になり、意識を失って同大病院に運ばれた。同十七日に突然呼吸が止まるなど容体が悪化したため、人工呼吸器を装着したが、脳波が平たんになり、その数日後に脳死状態になったとみ られる。
五月二十日には、研究班が小児の脳死判定基準作成のために作った仮基準に基づいて脳死判定をしたところ、基準をすべて満たし、「脳死」と診断された。
その後も薬物治療や水分調節の点滴、栄養補給などが続けられたが、今年三月二十八日、腎(じん)不全のため心臓が停止した。
脳死状態になってから三百四十日余りで、今年二月に明らかになった兵庫医大の乳児の約三百十日より一か月長かった。
杏林大病院小児科の松田博雄教授は「脳幹の一部を残して脳が溶解していたにもかかわらず、なぜか心臓は動き続けてきた。脳死と診断されても、心臓を動かし続ける技術がある以上、治療をやめることはできなかった」と話す。
小児の脳死をめぐっては、法学者による厚生省の「臓器移植の法的事項に関する研究班」が、現行の臓器移植法では認められていない十五歳未満からの臓器提供に道を開く同法改正の提言を発表しており、小児の脳死判定基準作りの行方に関心が集まっている。
今回の症例について、竹内名誉教授は「これほど長く心臓が動き続ける例はまれだが、脳死であることは間違いなく、判定基準作りそのものには、あまり影響は ないだろう」という。
4月20日
臓器移植法見直しへ厚生省研究班が提言
**厚生省研究班の「臓器移植の法的事項に関する研究」グループ(分担研究者、町野朔・上智大教授)は臓器移植法の見直しに向けて、脳死からの臓器提供は家族の同意があればできるようにする、とする内容の研究報告概要をまとめた。現行法では、脳死からの臓器提供は本人が書面でその意思を示していることが条件になっている。同法は施行から3年後に見直し作業をすることになっており、町野教授は「論議のたたき台、問題提起と考えている」と話している。
概要では、同法に「本人が『臓器提供しない』という意思表示をしておらず、家族が提供の意思を書面で表示した場合には提供できる」という趣旨の記述を付け加えるよう提言している。
現在、法の運用指針は意思表示ができる年齢について、民法上、遺言が可能な年齢などを参考にして15歳以上と定めており、このため子どもの脳死からの臓器提供は事実上できない。家族の同意だけで脳死からの臓器提供が認められるようになれば、結果的に15歳未満の臓器提供にも道を開くことになる。
3月23日
公衆衛生審議会臓器移植専門委員会
**公衆衛生審議会臓器移植専門委員会(委員長、黒川清・東海大医学部長)は、初の脳死移植を臓器移植法に基づいて実施した、高知赤十字病院での救急治療や脳死判定などに関する医学的評価を行う作業班の設置を決めました。
作業班は竹内一夫・杏林大名誉教授、大塚敏文・日本医大理事長ら六人の予定。提供者のプライバシーにかかわる資料に基づいて評価作業をするため、非公開にするとしています。また専門委は今後、移植医療の透明性確保とプライバシー保護、移植を支えるシステムの整備などを議論していくことになりました。
提供者の治療経過について、竹内名誉教授は「短時間に続けて破裂したくも膜下出血で重症だったのだろう」と、救命困難だったとの見解を示しました。
日本臓器移植ネットワーク近畿ブロックセンターの小中節子チーフコーディネーターは「脳死の確定前から報道され、家族もコーディネーターも動揺した。家族を支えられなかったことを反省している。米国、欧州とも違い、日本における(臓器提供の)あっせんを一つずつ積み重ねていきたい」と述べました。
大阪大の福島教偉助手(心臓移植)と信州大の川崎誠治教授(肝臓移植)は「患者へのインフォームドコンセント(十分な説明と同意)などの準備で、時間的には非常に厳しかった」などと、今後の課題を挙げ、また、腎臓(じんぞう)移植をした東北大、国立長崎中央病院、角膜移植の高知医大の担当医師は、移植を受けた患者がいずれも順調な経過をたどっていることなどを報告しました。
2月28日
大騒ぎの中初めての脳死臓器移植が行われました
**28日午前、脳死での臓器提供意思を持ち、臨床的脳死と診断された高知県内の40歳代の患者について、高知赤十字病院(高知市、開発展之病院長)は、臓器移植法に基づく2回の脳死判定の結果、最終的に脳死と判定しまた。同日午後3時過ぎには臓器の摘出手術が始まり、心臓の移植手術は、大阪大学付属病院(大阪府吹田市)で午後7時ごろから開始され、約2時間後に移植した心臓の鼓動が確認されました。肝臓の移植手術も信州大学付属病院(長野県松本市)で、午後8時過ぎに始まり、二つある腎臓の移植手術は、東北大学付属病院(仙台市)と国立長崎中央病院(長崎県大村市)で1日午前にも始まります。角膜移植は高知医科大学(高知県南国市)が担当することになっています。肺は移植が予定されていましたが、臓器の状態から移植を断念しました。
2月27日
再び脳死の法的判定を患者の家族が承諾
**脳死での臓器提供意思を持ち、臨床的脳死と診断された高知県内の40歳代の患者について、高知赤十字病院(高知市、開発展之病院長)、臓器移植法にもとづく再度の脳死判定をすることを決め、午後から判定作業に入りました。
日本臓器移植ネットワークのコーディネーターを通して、脳死判定や臓器提供について家族から、脳死判定について一切公表しないことやプライバシーを守ることなどを条件に、承諾書が提示されたため、法的な判定を改めて実施し、脳死と判定されれば、移植手術の実施に向けた臓器摘出へ動き出すことになります。
2月26日
高知県内の40代の女性が、脳死状態と診断され臓器移植に向けて脳死判定が行われましたが微妙な情勢
**高知市の高知赤十字病院で県内の40代の女性がくも膜下出血のため22日午後11時9分ごろ、同病院に運ばれましたが、すでに手遅れの状態で脳死状態と診断されました。この女性は臓器提供意思表示カードに移植のための臓器提供に同意する意思を明らかにしていたため、病院側は日本臓器移植ネットワークに連絡。同ネットが派遣したコーディネーターが25日、女性の家族(夫)から同意を受け、脳死判定の準備作業が始まりましたが二人の判定委員から脳波が脳死と判定できる「平たん脳波」ではなく、判定に当たった2人の医師とも、この時点では脳死ではないと 脳死状態にいたっていないとの判断が示されました。 同病院の開発院長は判定後の午後11時ごろ、記者会見し、「すでに脳死判定と、臓器提供の承諾は得ている。しかし、家族にはもう一度話をしなければならない。承諾書はもう一度取り直さなければいけないだろう。26日朝以降、家族の気持ちを再確認する」と話しました。
二回目は、六時間後に行われなければならないと定められています。
移植が実施されれば、1997年10月16日に臓器移植法が施行されて以来、初めての脳死移植となります。
2月25日
臓器移植法に基づく脳死判定作業で「脳死といえず」
**
高知市の高知赤十字病院(開発展之院長)に入院している高知県内の40歳代の患者が臨床的に脳死であると、主治医が25日判断しました。患者は脳死での臓器提供の意思を記入した意思表示カードを所持しており、家族の同意を得たことから、同夜、臓器移植法に基づく脳死判定作業が行われましたが、1回目の判定で脳波が平たんではなく判定基準を満たしていなかったため、脳死とは判定されませんでした。病院側は同夜、主治医がもう一度臨床的に診断したうえで、(脳死の「診断」は患者の治療方針を決めるため、「判定」は患者の生死を決めるために行われる)改めて家族に脳死判定実施の了承を求める考えを明らかにしました。
1月5日
脳死後の臓器移植を家族が反対し脳死移植を断念
**意思表示カードを持つ大阪府内の女性(48歳)が府三島救急救命センターで脳死状態になったものの、家族が心停止後の提供を希望したため、脳死移植を断念し、女性の心臓が停止した後、家族の同意を得て、腎臓や心臓弁を摘出しました。
家族の同意が得られない理由で脳死移植を断念したケースは、98年8月の関東地方のケースに続いて二例目になりました。
**98年**
10月16日
臓器移植法施行から1年
■国内で脳死者からの臓器移植を可能とする臓器移植法が施行されてから1年を迎えましたが臓器移植は一件も行われませんでした。臓器移植ネットワークへの登録患者は延べ66人で心臓18人、肝臓44人肺4人で、このうち7人が死亡し、10人が生体肝移植に切り替えました。
意思表示カードは9月末現在で2370万枚配布されました。
意思表示カードを所持して死亡した人は32人で自殺者10人、交通事故死1人、移植の対象の重症患者が5人いましたが、いずれもカードの記入不備のため脳死段階での提供はありませんでした。
6月24日
厚生省・多臓器提供に関する費用についての研究班
■多臓器提供に関する費用についての研究班(班長・寺岡 慧東京女子医大教授)これまで脳死と診断されて腎臓を提供ないしその候補となった十数例から、脳死判定費用、移植臓器の機能検査費用、臓器摘出費用などについて、費用細目を積算したものです。これにさらに飛行機による運搬費用と移植手術(入院費、投薬、検査などの基礎的費用が保険給付対象となる「高度先進医療」の適用には、五例の実績があることが前提)および術後の管理費用等が加算されることになります。
コストは、脳死判定から始まり術後の管理まで含めると一千万以上かかると試算されています。標準診療報酬額の決定、保険適用が今後の課題です。
**97年**
12月25日
臓器移植ネットワーク('55移植ネット)が啓蒙バッジを作成
■意思表示カードの普及を図るために移植啓蒙バッジを1万5千枚作成しました。絵柄は意思表示カードと同じ天使の絵柄になっています。サイズは直径4−7.5センチの3サイズがあり希望すれば、意思表示カードと移植啓蒙バッジを無料で郵送してくれます。
問い合わせ先:移植ネット本部 0120−78−1069
12月9日
英国で先天性肝臓障害児が脳死臓器移植成功
**生後5日で肝臓移植を行い術後4週目で退院し現在5ヶ月になりますが、1日3回の投薬ですむまでに回復しているようです。ドナーは死亡した男児、肝臓は8分の1に切り取り移植しました。
10月17日
臓器移植ネットワーク発足
**日本腎臓移植ネットワークが申請していた名称変更や多臓器の斡旋などの定款変更について
国内で脳死者からの臓器移植を可能とする臓器移植法が16日に施行されたことを受けて厚生省から許可書が交付されました。これにより社団法人・日本臓器移植ネットワークが正式に発足しました。
9月27日
脳死移植処分保留について最高検察庁は近く最終処分
**脳死した人からの臓器摘出行為によって心臓を停止させたとして殺人容疑で告発されていた8件の事件について、臓器移植法が10月に施行され一定の脳死について客観的な基準が出来ていることなどから、最高検は最終処分を検討にはいりました。いずれの事件についても不起訴処分の意見が有力です。
9月24日
臓器移植推進八団体
■全国会議員に対して臓器移植を希望する患者やその家族、移植経験者でつくる八団体は臓器提供意思表示カードを配布して、署名やカードの携帯の有無などを尋ねるアンケートを行いました。アンケートの結果は臓器移植法施行後に発表する予定です。
9月5日
公衆衛生審議会・臓器移植専門委員会
**公衆衛生審議会(厚相の諮問機関)の臓器移植専門委員会(黒川清委員長)が都内で開かれ、臓器移植の具体的な手続きを示す厚生省のガイドライン案がまとまりました。家族が脳死判定に立ち会えること、臓器移植法の対象外である皮膚や血管などの組織の摘出も、遺族から書面で承諾を得ることが新たに盛り込まれました。厚生省は19日に都道府県の担当課長会議を開き、10月16日の臓器移植法施行に向け、内容の徹底を図るとしています。
在日米軍基地からの臓器提供については、日米安全保障条約に伴う日米地位協定上の取り扱いなどに関する関係省庁の協議がまとまらず、ガイドラインへの盛り込みが見送られました。
ガイドラインではこのほか、臓器提供の意思表示が可能な年齢は15歳以上▽臓器摘出の承諾を得る家族の範囲は、配偶者、子、父母、孫、祖父母と同居の親族▽臓器提供施設は最初の数例は大学病院の本院と日本救急医学会の指導医指定施設に限るなどが示されています。
8月1日
日本移植学会
**心臓、肝臓など脳死移植に道を開く臓器移植法の10月16日施行に向けて、日本移植学会(理事長、野本亀久雄・九大教授)は、移植現場で実施施設を支援する全国チームを設置しました。手術や術後管理のほか、法律問題など幅広い分野から20人余りの専門家を集め、臓器提供の新しい意思表示カードを今月から配布することも決めました。
意思表示カードは脳死判定に従ったうえで脳死後に臓器提供、心臓死後に臓器提供、臓器を提供しないの3つのうちいずれかを選ぶことになります。患者団体や学会メンバーを中心に当面、200万枚配る予定です。
6月18日
公衆衛生審議会・臓器移植専門委員会
**臓器移植法が6月17日成立しました。
1968年に日本初の脳死した人からの心臓移植が札幌医大で和田寿郎教授(当時)によって行れました。
関連:腎臓移植ネットワーク、日本移植学会
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